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「この先に進めば人里だよ」
あのあと仮眠を取り明るくなってからルーミアが案内を引き受けてくれた。
眠っている間に襲うとか姑息なことはしないというのは嘘じゃないみたいだ。
「ふぅ。これでようやく休めそうね」
街の風景が見える。
変な種族だったけど嘘は言わないようね。
「人里なら妖怪がいても安全だけど、他の場所に行くとルーミアよりも強い妖怪が沢山いるから気をつけるのだ」
「妖怪?」
テレビアニメとかホラー映画ぐらいでしか聞くことがない言葉ね。
「んールーミアは説明が下手だから人里にいる慧音っていう人に聞けばいいのだ。とりあえずついてきて!」
ルーミアに手を引かれ人里のほうへ走っていく。
入った町並みは時代劇にでてきそうな風景。
洋服を着ている人間も少しいるが、大半が和服で昔の日本にタイムワープしたような感覚になる。
「えーと映画のセットじゃないのよね?」
「映画? よく分からないけどここが幻想郷で人間がいっぱいいる場所なのだ」
幻想郷?
あーまぁ慧音という人に聞くか。
「とりあえずは…感謝しておくわ。ルーミア、また会えたらいいわね」
「そうだね。また会おうなのだ」
あたしはルーミアと別れ街の中を歩く。
制服姿のままのあたしを珍しそうな眼で見つめてくる。
そんな時一人のシグナムぽい女性があたしに声をかけてくる。
「…お前は、外の人間か?」
「さっきも言われたけどたぶんそうよ。慧音って人を探してるんだけど知らない?」
「私だが、外の人間にまで名が知れ渡ってるとは思わなかったな」
「不思議そうな顔しなくても大丈夫よ。ルーミアに教えてもらっただけだから」
「ルーミアだと!?」
シグナムぽいのは外見だけじゃないのね。
「あいつに遭遇して食われなかったのか? 外の人間ならとりあえず食いにいっちゃうからな」
「大丈夫よ。倒したら仲良くなったわ」
「………外の拳銃とかいうアイテムでも持ってきてるのか?」
「ないわよ。ちょっとした実力よ。それより外とか中とか分からないことだらけなんだけど、説明してもらえないかな?」
「あーそうだな」

先生説明中.....

「隔離世界みたいなものかしら。……なんとなくわかったわ。神社の巫女もあたしと同じような幻想卿入りの原因を探してるみたいだし………まぁいいわ。とりあえずあたしが寝泊まりできそうな場所があればいいんだけど」
「そうだなぁ……。外の世界で学生とかいったけど、どこまでなら分かるんだ? 足し算とかひらがなができるなら私の寺小屋を手伝ってくれるなら衣食住と ちょっとしたお駄賃ぐらいなら出せるが。それか面白半分で雇ってくれるけど命の保証はあまりない吸血鬼のお屋敷に紹介状を出すとかもできるし、ルーミアを 倒せるなら低俗妖怪も倒せるだろうし、自衛団で軽く体を張ってくれたら給料はでるそうだ。……長続きした奴はいないがな」
「そうね。寺小屋の話と自衛団ってのなら悪くなさそうね。あたし自身がお屋敷出身だから、他のお嬢様にこき使われるのは趣味じゃないわ」
「なら、ひとまず私の家に荷物をおこう。その服もだいぶ汚れているみたいだし、新しい服を用意したほうがいいな」
たしかに野宿したり山の中歩いていたから、制服が結構ボロボロね。
元の世界に戻れた時は新しい制服を購入しないといけないわね。
いつ戻れるか分からないけど、戻ったら時間が過ぎてませんでしたみたいなオチを期待したいわね。
……何年も皆と離れるなんて冗談じゃないわ。
とはいえ、今は今。
「さぁて、幻想郷! あたしを楽しませてよね」

「あ、以外にも素早い。じゃあこうしちゃうぞー」
こうしちゃうぞー!って軽いノリで射撃魔法なんざ使うな!?
あたしは突っ込みを入れるべくあたしは拳を構える。
「ふん!」
付近に散らばる魔法を断つ。
少し吸収した感覚が普通の魔法と違う気がするが、今の攻撃のお陰で魔力を吸収することができた。
「その程度の射撃じゃ…まだまだね」
「弾幕を斬るとかボムよりひどいぞー」
空飛ぶ人肉種族のいる世界にも爆弾はあるのね。
むしろこいつが少数民族なら、大半の人間は爆弾だので戦いたくはなるか。
「ふぅん。このあたしは魔を断つ能力なのよ!」
「なんとー! …匂いは外の人間ぽいのにどうなってるのかー」
外の人間ということはやはり少数民族ね。
向こうから襲ってきたんだし、正当防衛ぐらいなら認められるわよね。
無理なら全員ぶっとばす!
「さーて、そんなくだらない疑問はどうでもいいのよ。このあたしに喧嘩売ったのはあんた。そいつをあたしは買う。馬鹿ほざいてる暇があるならさっさと続きをしない?」
「人里に逃げれば助かったのに 外の人間は食われても文句言われないんだぞー!」
「あら、人里があるなんて幸運じゃない」
殴り合いで遊んでやろうかと思ったが、最優先事項のキーワードを前に気が変わる。
「みやー!」
煙幕なんてやっかいなものを。
月明かりすら遮られて視界は完全に真っ暗だ。
こんな時にインテリジェントデバイスかストレージデバイスがあればサーチが楽なんだろう。
「どうだー見えないだろー」
「見えなくて困ったわね。で、これって魔法か何か?」
「私の能力でいかなる場所も暗闇の空間を作れるんだぞ。怖いだろ!」
ふむ。
魔法の類とは少し違うみたね。
射撃魔法は吸収できたけど、これは…少し難しいわ。別世界の魔法だとあたしの体が完全に対応してないのかな。
「うわ!?」
あたしの頬を弾丸がかする。
こんな暗い中で攻撃をされたら回避するのは難しい。
「あ、こっちにいたのか」
…声でばれた!
ばれた?
……もしかしてこいつも見えてない?
とりあえずいっぱい飛んで来る魔法を右手で吸収しておく。
右手限定で魔力吸収能力があるけど、あたし右利きだから武器持ってたら吸収できないのよね!
だったら殴ればいいじゃないとか簡単なこと言うけど、あの守護獣とか使い魔相手に訓練って正直小学生の体力じゃきついきつい。
あ、今はこんな話は関係ないか。
「うわー。もうだめだー(棒読み)」
「……いや、さすがに棒読みにつられるほど馬鹿じゃないよ」
「それは残念」
吸収した魔力をこめ
「烈風拳!」
撃ちだす!
「なんとー!」
…方向はよし。
「見つけたわよー」
「ひぃぃぃ」
勢いをつけたままショルダータックル。
軽い少女は楽に宙に浮く。
「このあたしに喧嘩売ったことを後悔するがいいわ!」
空に舞い上がる少女を掴み
「パワーダンク!」
地面に叩きつける。
死にはしないだろうが、普通の人間ならこれで当分は動けないはず。
「うー痛いのだ」
「そりゃ喧嘩だもの。まだやるなら立ちなさい。相手になるわよ」
「……ルーミアの負けなのだ…」
「分かったわ」
あたしは倒れている少女の前に立ち手を差し出す。
「え?」
「勝ちと負けが分かればこれ以上は無駄よ。…またあたしを食べようとするなら今度は今以上にボコるけどね」
「……」
「分かったら返事なさい」
「わ、分かりました!」
「よろしい。えーと、あんたはルーミアでいいのね。あたしは、アリサ。アリサ・バニングスよ」


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