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スキマ妖怪1人居たら外の世界はまだまだ恐怖のどん底に落とせるんじゃないかしらねぇ。
偽造されたパスポートを手に私と早苗はブルガリアの地に降り立った。
車ごとスキマで移動とかホントやることが大胆だわぁ。
「早苗達の国ではヨーグルトの名前のほうが有名かもね」
「あはは。たしかにそれ以外はあまり知らないですねぇ。イギリスとかそっちのほう出身と思ってましたよ」
「ブラド・ツェペシュはルーマニアの人物よ。ま、私はその隣国であるブルガリアに館を構えていたわけ」
適当にツェペシュの末裔を名乗ってるとか言った奴は表でていいわよ。
「私はてっきり歴史的にツェペシュの末裔を自称してるかと思ってましたよー」
うわー目の前にいたわ。
「まぁ私が生まれたときでもまだブラド・ツェペシュの串刺し公は恐れられたということよ。それと彼はルーマニア独立の英雄とも扱われているわ」
「ところ変われば神と悪魔は簡単に入れ替わるってことですか」
「その通りね。と、故郷のカザンラクに付いたわね。6月ごろだと薔薇が美しいところよ」
「あ! ローズオイルで有名でしたね。カザンラクってブルガリアの街だったんですかぁ」
有名なものは1つがあるとは言え今は……少しさびしい街ね。
紅魔館にある日用品は、ここの職人達が作ったものも少なくはない。
元々が要塞都市だったとはいえ……軍事産業で名をまた広めてるなんて悲しいわね。
「ん、どうしたんですか? あの建物が何かあります?」
「あぁ。吸血鬼として人間と敵対もしたとはいえ、人間が人間を殺すために作るものがこの街に堂々とあるのはいい気がしないわねってね」
化け物を退治するのは世界変わらず人間だ。
でも、その人間を殺すのもまた人間。妖怪達はもはや本当に不要の世界なのかもしれない。
「ちょっとがらにもない姿を見せてしまったわね。紅魔館のあったところはまだ先だから早く行くわよ」



「いやぁ見事に無残な姿ねえ」
雑草が庭を支配し、ツタが館を多い窓が割れている。
美鈴に庭手入れを任しているがこの姿を見ると、あの子も真面目にしてるのだなと改めて理解する。
「流石にこれを掃除するのは骨が折れそうです」
「あぁいいわよ。神聖な場所でもないし、ここに戻ってくることはもう無いでしょうから」
改めて私達は幻想郷という檻の中でしか生きれない存在になったと思い知る。
夜は闇を忘れ、ヒトはヒトとのみ戦い我らを忘れる。
お伽噺やゲームの存在でしかない私達は、せいぜいホラー映画とかでキャーキャー言われる程度なのだろう。
ゲームで言えばバイオハ○ードってやつね。
吸血鬼とか無しでゾンビが暴れまわるんだから、最近はゲームですら忘れられた存在な気がしたわ。
「大丈夫ですよ。私はレミリアさんのことは忘れませんし、大切な友達です!」
「……さとりの能力でもあるの?」
「まさか。でも、いつでも胸張って堂々としているレミリアさんが悲しそうな顔をしていたら想像はつきますよ」
それもそうか。
お嬢様は少し我儘なぐらいで丁度いいわね。
「ありがとう。そうね、早苗の家みたいにどこまで保存されているか分からないけど、少しばかり宝探しでもしてみない?」
「主の許可付きで悪魔の館でトレジャーハントですかぁ。魔理沙さんなら大喜びしそうですね」
「ふふ。そう言いながら早苗もわくわくした顔してるじゃない」
元々は私の持ち物だしね。
「他の人間が大半を持って行ってそうだけど、私や咲夜にパチェのお宝は全部もっていけるものじゃないわ」
「……そう言えば咲夜さんっていつからレミリアさんといるんですか?」
「ふふ。それは秘密よ」
ヒトとしては長い時間を持ちすぎている。そんな咲夜を理解できるのは当時は私だけだったでしょうね。
「ま、幻想郷にもっと馴染んだらいずれ教えてもらえるかもしれないわね。主とはいえ咲夜の心情を勝手に口開くものじゃないから、その時まで生きてなさいよ」
「当然です。私は奇跡を起こす程度の能力です。そしてレミリアさんが私を友として望めば、奇跡を起こす程度の運命になるのは当然じゃないですか」
奇跡を起こす程度の運命か。そりゃ神様だって超えてそうねえ。
「その奇跡で残っているお宝でも頂戴していきましょうか。外の世界のレトルト食品って奴とか大量に買うお金ぐらいは作れそうでしょ」
うちにも缶詰とかがいくつかあるけれど、人間にとったらアレはすごく便利な道具だ。
武器なんて作っている暇があれば、餓死する人間を減らす努力ができるだろうに。
「さて侵入防止に鎖やらが巻かれているわけだけれど、実はこっちの壁に隠し扉があるのよねー」
ん、硬いわね。
ちょっと本気出す。
……結構本気出すわよ。
…………手加減しないわ!

ゴゴゴッと音を立てようやく動き出す。
「まぁ私の手にかかればこんなものよ」
「だいぶ汗かいてますよ?」
「気のせいよ気のせい」
早苗と居るとどんどんカリスマが抜けている気がするわ。
いや、パチェや咲夜と居る時と同じぐらいリラックスしていると言うべきかしら。
霊夢のように私を倒した存在でもなく、パチェのような対等な存在でもない。咲夜のように私を全てと仕える者では間違ってもない。
魔理沙のように見て面白い人間でもない。訂正。そこそこは面白い。
でも何か違うこの感覚は、やっぱりパチェのような親友と思える存在に近いわね。
「早苗」
「はい?」
「いやなんでもないわ。とりあえずあちこち見て回るけれど、咲夜の能力が適応されていないから少し地形が変わって感じるわよ」
空間を広げるとはなかなか便利な能力だと思う。
改めて昔の家を見ると狭いわ。
分かりやすいところに置いてあったものはほとんど無くなっているわね。
「さてと、残ってるとしたらここよね」
フランがいた地下室とは別のさらに奥に隠された部屋。
「……何もないようですが?」
「甘いわね早苗。隠し扉の向こうにある部屋。さらに奥にあるのよっと」
天井のスイッチと床のスイッチを押すと……ほらでてきた。
「うわっ!? 金貨とか始めてみました」
「紅魔館に何かあった時には咲夜 美鈴 パチェそしてフランが逃げて暮らせるように用意しておいたのよ。まぁ紅魔館そのものが幻想郷にある今では無用な心配ね」
「レミリアさんは優しい悪魔ですね」
「悪魔の囁きはいつでも甘いのよ。さてと、探索しながら思い出にも浸れたしお土産を用意して私達の家に帰りましょうか」
ここはもう家じゃない。
外の神社も紅魔館も今はただの抜けがら。
「そうですね。帰りましょう。私達の家に」




「で、人里初め全部の場所に宴会できるお酒とか買うお金に化けたわけね」
紫 早苗 レミリアと異色の3人がテーブルを囲み食事を楽しむ。
紅魔館 守矢神社の主催で幻想郷全土で宴会が行われている。
そのうちの1つとして、紅魔館のテラスでこの3人は今回の隠れた功労者を招き食事を楽しんでいる。
「外に残したものだから幻想郷にそのまま持ってくるのはナンセンスじゃない? あ、別に優しい悪魔とか言われて気分よくしたわけじゃ…もにょもにょ」
「ふぅん。……いいじゃない気分が良くても。ここは弾幕でもの言う世界よ。恐怖だけで妖怪の威厳を見せるには風見幽香とかぐらいにドSじゃないとねえ」
私の身長を見て何か言いたげだなチクショウ。
けど今日の私は気分がいいからスルーしてやろうじゃないか。
「それにしても外で何があったか知らないけど、仲いいわねあんたたち」
「当然だ。パチェに次ぐ親友だからな。このレミリア・スカーレットに愛されるとか奇跡的な運命だ」
「奇跡は私の能力ですから。それに運命が合わされば不可能はありませんよ」
「奇跡を起こす程度の運命ねぇ。まぁ、十分すぎるお礼を貰ったしお釣り変わりに何かあればまた言いなさい。気が向いたら優先的に手伝ってあげるわ」
「そうさせてもらうわ」
「ただしそこ2人。霊夢に関することはお釣りの範囲外だからせいぜい頑張ることねぇ~」
手を振りながら姿を消す八雲紫。
「確かに愛しの霊夢のことも大事だが、今日は親友との旅の終わりを祝して乾杯といこうじゃないか」
「えぇ。これからの歩みにも」
『乾杯』
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