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「ルーミア案内ありがとうね」
「このへんなら任せてもらってもいいのだ」
寺小屋のバイトを休んであたしは紅魔館のほうへと足を延ばすことにした。
人里からは結構な距離があると聞いていたが、途中で出会った妖怪どもを殴り倒してたら偶然にもルーミアに再会し案内してもらえることになった。
上級妖怪に比べたらルーミアは弱いほうだが、このへんのちょっとした下級程度の中では頭を張れるぐらいの力はあるらしい。
「私とか他の妖怪や妖精と馴染めば、幻想卿の住人の匂いになるから無駄に襲われることはなくなると思うのだ」
「何か違いでもあるの?」
「ん~。外の世界で自殺をしようとしてた人間とかを連れ込んでこの世界の妖怪の食事にしてるんだけど、たまに紛れ込んだ人間も外の人間として食われちゃう の。それまでに外に帰るかこの世界に住んで馴染めば人里の人間とか各勢力の人間として認められて弾幕ゴッコ以外は挑まれなくなるよ。今の幻想卿のルールで はよほどのことがない限りこの世界の人間を殺しちゃダメなのだ」
「あたしはまだ外の匂いがしてるから面倒な相手が多いってことね」
殴り倒した妖怪が手を組んであたしの前に再び現れる。
長生きしてるわりにしつこい連中だ。
「ルーミア ソイツ ソトノ ニンゲン」
「慧音や妹紅と一緒にいる人間だよ。それに私を倒した実績もある。これ以上アリサの邪魔をしないほうがいいと思うな?」
「……ケイネ モコウ。ワカッタ。オマエ ココノ ニンゲン。オソッテ スマナカッタ」
「お互い無事だし気にしなくていいわよ」
ん~。あの二人の名前を出しておけば概ねいいのか。
「慧音や妹紅の名前でだいたいの妖怪は引いてくれるけど、ルールブレイカーな妖怪もまだいるから気をつけるのだ。自衛団というのはそういう妖怪がまだまだ いるから存在してるわけなのだ。外の世界に残っている妖怪もこの幻想卿に着たりしてるからそういう妖怪が減らないって文句いってた」
妖怪といえど人と大差なくか。
妖怪ゆえに大差でないのかもしれないわね。
神に近い力をもつが、その神も神話を見れば人間と大差ない。
「ぬ、ルーミア!? その人間は誰!?」
「アリサよ。で、あんたは誰よ」
「あたいは幻想郷最強の妖精チルノさっ!」
「えーと。この湖の近くにいる妖精で友達のチルノちゃん。氷を操る力があって弾幕ゴッコというルールでは結構強いほうなのだ」
「結構じゃなくて最強よ! そんなわけでルーミアと仲良くしているところを見る限り ルーミアを倒せたみたいだけどそれだけじゃ最強にはなれないね! このあたい氷の妖精チルノが相手さ」
なんだろう。
脳裏に⑨とかいう単語がものすごく浮かぶのは何でだろう。
「とりあえず倒しておかないと前に進めないフラグでいいのかしら?」
「なのだ。私は見学してるから頑張って戦うのだ」
そうなるのがこの世界の常識ぽいわね。
「チルノって言ったわね。あたしは炎を操る人間よ。あんたの氷とどっちが強いか勝負よ」
なんて吠えてみたけど氷ってことはただの魔力弾じゃないか。
案外純粋魔力じゃないものを放つタイプって苦手分野なのよね。
試しに受け止めてみた右手が氷につつまれる。
魔力を吸収しても溶かす炎の労力で体力が消費される。
あまり美味しい作戦ではないわね。
こうなると長期戦は無造作に撃てる相手の方が優位というわけだ。
「炎と人間ってのはね一瞬で光輝くものなのよ。……いきなり大技で決めさせてもらうわ」
大地を蹴りあげ上空にいるチルノに飛びかかる。
「この弾幕を越えられたらね!」
一面の氷があたしに向かって降り注ぐ。
「外の人間にゃピチューンルールなんてないのよ! 倒れた時まではピチューンしない!」
「だったら、ルナティックモード!」
数が増える。
この世界のルールとして数が増えるのは正しい。
けど、さっきの話題にもあるが、ルールブレイカーというものは存在する。
魔を吸収するあたしはある意味でブレイカーだ。
そして純粋に銃弾を飛ばすだけがあたしの戦いじゃない。
「おんどりゃあ!」
凍りついていく体を炎で溶かし目の前まで突っ込んでぶん殴る。
単純かつ確実な勝利だ。
「ばたん⑨~」
相性の悪い相手は開幕から全力でたたみかけるのがあたしのセオリー。悪く思わないでね。
「さて、この小さいのどうする?」
「ん~。大ちゃんいてるのかー?」
「はーい。って、チルノちゃん…っこれまた気持ちよく気絶して。また、弾幕ごっこ挑んでたんですか?」
「そうなのだ。とりあえず私は道案内の役目があるからチルノを頼んだのだ」
「分かったわ。えーと、そちらの方。チルノちゃんが迷惑かけたみたいですいません」
「いいのよ。あたしの気が向いたら再戦は受け付けてあげるからまたおいでって伝えておいて」
「勝つまで行くと思いますけど…気長にお願いします」
「いいわよ」
見た感じ。どうみても妖精って羽が生えている。
そしてどう見ても保護者ね。
あたしはチルノを引き渡し先を進む。
いざ目指すは紅魔館。
魔理沙のいる確率が高くて興味を解決できる美味しい場所!



「なかなかいいお屋敷じゃない。特にこの色にセンスを感じるわね」
「褒めていただいて光栄ですが…こんな場所まで普通の人間が何の用ですか?」
チャイナ服の女性が話しかけてくる。
どうやらここの関係者みたいだ。
「ここに来れば魔理沙っていう人物に会えるらしいし他にもいろいろとね。…ただ思ったほど歓迎はされてないみたね」
「当然です。いきなり来る人間は不審者か手合せに来る人かのどちらかですから」
たしかに妖怪の屋敷とあればいい物が転がってそうだわ。
運が良ければ元の世界に戻る道具もありそうね。
「んじゃここの主に話つけたら今後は客人になってもいいわけね。……とりあえず通してもらうわよ」
「紅魔館の門番、紅美鈴を倒してからにしてもらいましょうか」
「当然そうしないと強行突破できないんでしょ? ルーミア案内助かったわね。ここから先はこいつに案内してもらうようぶちのめしておくわ」
「あ、あはは。アリサらしいけど美鈴はチルノと違って本当に強いから気をつけてね」
火花のように気迫が飛んで来る。
ルーミアが強いというのは間違いなさそうだけど……。
「あたしも強いわよ」
バリアジャケットに変身。
白いチャイナ服を身にまとい拳を構える。
「ふぅん。格闘家でもありましたか。…では、私もそのつもりで挑みましょう」



「へぇ。今度の少女は面白そうね」
「どうしましたかお嬢様」
「美鈴相手に正面から堂々と殴り込みにくるなんて久しぶりじゃない。もし突破できたら丁重にお客様として迎えてあげなさい。あの小娘の目的は知らないけれど、あんな面白い少女を追い返しちゃ暇な日常から進歩がないわ」
「分かりました。とはいえ、あの体格で美鈴と殴り合いは…医務室のほうが先かもしれませんね」
「ふふふ。私の望んでいる少女ならこの場所に来るわ」



「あたしはアリサ・バニングス」
「紅・美鈴」
名乗ったらあとは殴り合うのみ。
互いに地を蹴り間合いを詰める。
体格の差で美鈴のほうが先に動く。
耳元で風が鳴る。
この拳圧は…あたしを一撃KOさせるつもりだったか。
「ボディがお留守だぜ!」
この距離まで詰めて攻撃を掻い潜ったのに、バックステップで回避するなんて反射神経が人間じゃないだけあるわ。
「……。無謀なだけの少女ではないようですね。それに炎を操る程度の能力。いいでしょう。気を操る程度の能力の私がお相手します」
美鈴の踏み込み速度がさらに速くなる。
「ちぃ!」
ショートアッパーとは思えない破壊力で、ガードしているあたしをそのまま吹き飛ばす。
「烈風拳!」
吹き飛ばされ体制が崩れてるあたしに追撃を入れるため走りだすところに、烈風拳を撃ちだす。
無理な体勢から発動しているから威力は落ちているが足を止める仕事は果たせたわね。
「いい好敵手になれそうですね」
「妖怪に言われるなんて光栄だわ」
単純に殴り合って勝てる相手でもない。
何よりあたし自身長期戦は苦手だ。
睨み合いなら長引いても大丈夫だけど、体力的に圧倒的に不利だし調整して戦うなんて器用なことしたくない。
じりじりと距離を詰める。
美鈴の射程内に入る手前であたしは加速して飛び込む。
「ぐっ」
「読んでますよ」
踏み込んだ先にカウンター狙いの攻撃。
1回やった手段は対応してくるか。
でも、あたしにはこれしかないしこれなら負けない自信がある。
「嘘っ」
美鈴の攻撃を額で受け止め、あたしの距離で手加減なしの一撃を顔に撃ちこみ地面に押し付ける。
マウントを取る前に素早く体をバネにして立ち上がるあたり、流石は妖怪といったところかしら。
「凄いですよアリサさん。妖怪相手に正面切って殴り合いするだけでも最近では珍しいのに、こんなインファイターな戦術なんて……ぞくぞくしてきました」
「あたしのほうこそ妖怪と殴り合いなんて面白くてたまらないわ」
ラッシュ力 体力の差を生かして美鈴の攻撃は一撃よりも数に重点を置いたスタイルに変わる。
確かに大きな一発を回避して突っ込んで同じことすれば、若干あたしのほうが優位だったがこれでは突っ込みようがない。
「烈風拳!」
「…私も一応弾幕もできるんですよ! 苦手ですけどね」
「……数で相殺かぁ。ならば、カイザーウェイブ!」
「ふん!」
いやまぁディバインバスターに比べたら威力はないけど、気を込めた拳で撃ち破るとかこれはこれで規格外よね。
「パワーチャージ!」
「なるほど……視界を遮って突っ込んできましたか」
人の2倍ほどの背丈がある巨大な魔力弾。
その背後にくっ付いて走り込んで飛び込むだけだが、1回だけならなかなかいい手段になる。
ショルダータックルで美鈴の体系を上にずらし
「パワーダンク!」
さらに蹴りあげて地面に叩きつけるコンボ。
これぐらいのことしないとあたしの攻撃でダメ―ジを与えるのは難しい。
「た、倒れてない!?」
「紅魔館の門番がそう何度も地面に寝転がるわけにはいきませんから」
打ち上げられたあと打ちつけられると読んでいたか。
妖怪相手に純粋な殴り合いを申し込んだのは失敗だったかな。
あたしの腹部に拳が刺さる。
「げほっげほっ」
大きく吹き飛ばされ、胃液を吐き出しながら転がる。
威力が段違いに違う。
「…まだ幼いあなたがこれ以上やるのは危険です。医務室になら案内しますから……はぁ、そんな目をしないでください」
乱れた髪をかきあげあたしは両足で立つ。
「どうなっても責任は取りませんよ」
「何勘違いしてるのよ。勝つのはあたしなんだから責任を取るかも知れないのはこっちのほうじゃない」
セットアップはしたが、まだ完全なバーニングにはなっていない。
「……藤原妹紅ですか」
「同じように炎を扱うけど…あたしのほうが熱いわよ」
数年も同じ場所で心がとどまっていた妹紅とは違う。
瞬間魔力放出量で出せる限りの魔力を拳に乗せる。
魔力吸収の望めない殴り合いなら、この姿は一瞬でケリをつけない限りさっき以上にきついものがある。
ラッシュを潜り抜ける最大の攻略法。
踏み込みで加速して殴られながらも気合で走り込むこと!
自分の距離になればでっかい一撃で殴りつけること!
「ぐっ!?」
ラッシュから一撃重視に切り替えたところを……
美鈴の拳が頬をかすめる。
少しかすったところから血が噴き出す。
それでもあたしは右足を踏み出す。
美鈴の拳が完全に伸びきる。
あたしの右足が大地につく。
その勢いを乗せて右腕を撃ちだす。
「これで堕ちろ!」
全体重を乗せたカウンター。
これで立ってこられたら殴り合いで勝つ手段はほとんどない。
叩きつけた美鈴が地面に手をついて起き上がる。
……これがルーミアよりも強いと言われた妖怪の力。
いや流石に今のパンチは相当効いている。
向こうの足もふら付いて姿勢が先ほどよりも崩れている。
それを言うとこっちはそれ以上に効いているんだけどね。
「ふぅ……私の負けですね」
「え? いやそっちが頑張れば私の方がダメージ大きいじゃないの」
「そうでもないですよ。とりあえず中からメイドさんが出てくると思いますので、医務室に運んでくださいね。それじゃおやすみなさーい」
ちょ!?
そのまま綺麗に倒れた!?
あ、確かにメイドさんがあわてて走ってきた。
まったく…先に倒れるなんて卑怯だわ。
「あーと、美鈴が医務室に運んでくださいって言ってました。それじゃあたしも3秒後に倒れるのでよろしく」
あたしだってもう限界で倒れたかったのよ!
言うだけ言ってあたしもそのあっまブラックアウトしてやることにした。


「いやぁ助かったわぁ。妖怪って思った以上に強いのねぇ」
メイドさんと同じぐらいの年の女の子に私は笑いながら感謝を述べる。
「美鈴相手に殴り合いで勝つなんて…見込んだだけあるわ。いいわ、この館の主である私に何か願いがあって来たのでしょう? 聞くだけは聞いてあげるから言ってみなさい」
「館の…主?」
「そうよ。このレミリア・スカーレットがこの紅魔館の主であり高貴な吸血鬼。……それとも、ただの小さい女の子とでも思ったのかしら?」
素直に思ってたなんていえばたぶんマジ切れしそうね。
「まさか。そのメイドさんの立っている位置から立場が高い存在だということぐらいは理解してたわ。…ただ主ってところまでは予測できなかっただけ」
「なるほど。モノはいいようね。まぁいいわ、気分がいいから許してあげる。さぁて本題の望みは何かしら?」
「簡単な話よ。あたしを元の世界に戻して欲しい」
「…ふむ。気分はいいけど、残念だけどその願いは聞くだけしかできそうにないわ。この幻想卿の結界をやぶることはできない」
でしょうね。
ここまで切り離され世界として完成された結界は、クロノ達の世界の技術でも不可能だ。
「ただ、手段を見つけられる可能性は貸してあげれるわ。この紅魔館にはこの幻想郷屈指の書庫がある。そしてその書庫には魔女として最高峰の存在がいる。私 自らその書庫の利用を許可するわ。次からは客人として好きな時 好きな時間に来なさい。昼間は基本的にこのメイド長、十六夜 咲夜がお出迎えするわ。吸血 鬼の本来の活動時間は夜だから、普通はこの時間だと私は寝ている」
「そう。戦いの音か何かで起こしてしまったみたいね。悪かったわ」
「いいえ。少女よそれは間違いね。私には運命を操る力がある。お前がここにくる運命すらすでに感じ取ってはいた。だが、美鈴を倒せるぐらいの力がなけれ ば、ここの書庫の魔力にも負けるだろうし、この世界でのルールで生きていくことはできない。里の外では何が起きるか保障はない。故に試させてもらっただけ だわ」
「楽できたほうが助かるんだけどね。で、見事あたしは合格できたわけね」
「当然よ。…あと、これは私からのサービス。これから過酷な現実が生まれても、その炎とその名をしっかりと自信を持って貫きなさい。この紅魔館よりも紅き翼を持っていることを誇りに白でも黒でもない紅を貫くのよ」
「???」
占い師的なことかしら。
レミリアの言うことが今の私には今1つ理解できない。
「いずれ分かるわ。では、また会いましょうアリサ・バニングス」
名乗ってはないんだけ…美鈴から聞いたのかな。
なんか、あたしにさらに威圧感とか追加したような存在だったわね。
「じゃあ図書館に挨拶して今日のところは帰るわ。人里で仕事を掛け持ちしてると忙しくてね」
「分かりました。それじゃ案内しますのでこちらへ」
メイドさんに連れられて書庫の前に立つ。
大げさな扉が付いていると思ったが、中はそれにふさわしい広さと本の数があたしを出迎える。
部屋の中央に置かれたテーブルに薄い紫の服を着て本を読む少女と、赤い髪と黒い悪魔の羽を生やした女性が掃除をしている。
「パチュリー様。以前お嬢様がおっしゃっていた方をお連れしました」
本を読んでいた目をこちらに向ける。
特に言葉を発することなく本をパタンと閉じこちらのほうへ体を向ける。
あたしは彼女のほうへ近づいていき
「始めまして。あたしはアリサ・バニングス」
「パチュリー・ノーレッジよ。…レミィの頼みだから無断拝借しない 大切に扱うって条件で好きに使えばいいわ。本の場所とか聞きたいならそこの小悪魔にで も聞いてちょうだい。…ついでにここの本の大半は魔術書。文字を理解する前に自分が魔術師として才能がなければ理解できない。読めるかどうかはあなた次 第ってことね」
なのはやクロノなら楽できたんだろうなぁ。
魔術師としての才能とか、魔導キラーな能力を省いたらないようなものよ。美鈴を倒すよりもこれって難易度高いんじゃないの。
「分かったわ」
「じゃあ、私は続きを読むから」
実にもやしだ。
ドラマとかにも絶対こういう奴1人はいるわよね。
「ま、本格的に利用するのはまた今度にするわ。連休を確保してないからこのままゆっくりしてたら明日の寺小屋の仕事に遅れちゃう。じゃあまた来るわ」
…シカトかい。
まったくこの本の虫。







「ん、ただいま」
「おかえり。紅魔館はどうだった?」
「紅美鈴ってのと殴り合って勝ったら好きに利用していいって言われた」
あたしの一日あったことの簡単な感想を言うと慧音はお茶を吹き出す。
「あそこの門番と殴り合った!? 弾幕ゴッコでは魔理沙やらに劣ってるけど単純な格闘技だと幻想郷でも上位クラスだぞ!」
「さすがに危なかったわ。運が悪かったらあたしの頭が熟したトマトになるところだった」
ジョルトカウンターという一か八かな大技を使うのは好きではない。
失敗した時のリスクを考えるといい戦術とは決して言えない。
そんなものを使わないといけないぐらいに手ごわかった。
「そうか。向こうも殴り合いに合わせてくれたってところか」
「でしょうね。弾幕とかも同時に使われたら勝てた自信はないわ。ただそれよりも紅魔館の主が…あたしと同じ匂いがするのが気になるわね」
「……あー」
何かいいたそうね。
まぁあえてスルーするけど。
「直接帰る手段は分からなかったけど、調べるための本は好きに利用していいってさ。あとは運命を操るだのなんだのと言いつつ、なんかサービスでよく分からないこと言ってきたわ」
「…覚えとくといいだろう。レミリア・スカーレットが直接言うということは気に入られて、なおかつお前に面白い未来が待ってるということだ」
「面白くなさそうな内容だわ」
お前苦労するぜ言われて面白いなんて思えるほど人間できちゃいない。
どうせなら手もかしてくれりゃいいのにね。
…そこまでいくと私を倒したらいいわぐらい言いかねないのでやめておこう。
これから何が待ってるやら
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「アリサせんせー」
「ん、どうした田中」
「ここ教えてください!」
ふむふむ。
慧音も他の生徒の質問に答えてるのね。
「いいわよ」
こんな感じで寺小屋のバイトは順調である。
「こんにちわー。アリサさんいらっしゃいますか?」
「ん、えーと。慧音がいってた阿求さん?」
見た感じ寺小屋にいる生徒のお姉さんって感じだ。
幻想卿の歴史などを記録している凄い人とは思えなわね。
でも、凄い人ほどそれを自慢しない。この人もそういう感じなのだろう。
「はい。妹紅さんが自衛団に入れたと聞いて、どんな人なのかお会いしたくなってきてしまいました」
「あはは。こんな人ですよ」
「ふふ、安心できそうですね。…命がけのわりには割の合わないお給料かもしれませんが、これからも人里の皆さんのためにお願いしますね」
……十分に食費や遊べるお金が賄えるほどだと思うんですがね。
「外の世界で過ごして、自然からかけ離れたあたしは農作物を育てるとかは苦手だからね。得意分野で生活費が稼げるなら気にしなくていいわよ」
「一応この幻想郷にも外と同じで、電気の類は開発されてきたんですがね。慧音さんに説明されてませんでした?」
「……あ、そうなの」
最近分かったことはシグナムぽいが意外にも抜けてるところがあってドジで可愛いやつだということだ。
「でも、昨日は真っ暗でしたよ」
「あー停電してましたからね」
あたしの感動を返せ幻想郷。
「とはいっても、外の世界から比べたら明かりをつけるとかその程度のものですよ。河童とか天狗はそれ以上のものがあると言われてますけど、幻想郷は自然と歩む世界ですから。無駄に使ったりはしないでしょう」
「外の世界は発展が速すぎて人の心が追いつかなかった…そんな感じはするわね」
見ず知らずのあたしを簡単に受け入れるあたり、ただの田舎町とは違う独自の温かさがここにはある。
「ま、それでも捨てたもんじゃない世界よ。どんな場所でも人がいれば友達になれる。……阿求、これからよろしくね」
「こちらこそよろしく。アリサさん」
なのはに出会えてなかったらこんなこと言うこともなかっただろうなぁ。
まったく人を根本的に変えたあの娘には恐れ入るわ。
「じゃあ、生徒さん達もお待ちですし私はこれで失礼しますね」
「ん、またね……さて、ちびっこどもー。今日はサッカーのなんたるかを叩き込んでやるわよ!」
どんな世界でもそう名前を呼び合えたら友達だ。
「慧音!あんたも入りなさい」
「ははは、体育は専門外なんだけど」
今日はいつもより騒がしい声が寺小屋に響き渡る

「今日もいい汗かいたわね。…お風呂でも入ろうかしら」
「おいおい、気楽にいうけどこっちの世界じゃガスとか火は高価なんだぞ。電気も風力など自然がないと起こせないから貴重品だし……って妹紅と同じ炎を扱えたんだったな」
「そうよ。水なら川があるから沸かすだけなら苦労しないわ。慧音も入るでしょ? 2人まとめて入れば魔力も楽だからさっさと脱ぎなさい」
「分かった分かった。お湯の加減は大丈夫なのか? 同じことを以前して沸騰していたから注意深くなってるぞ」
「先に入って調整してあげるわよ」
うん。完璧だ。
魔力の微調整はクロノに先途扱かれて扱いが上手になっている。
アクセルワークと同じで10段階調整は最低しないといけないらしい。
「お、心地いい」
「当然よ。…うわー感じも似てるけど胸のサイズも知り合いにそっくりだわ」
とりあえず揉んでみる。
はやてなら間違いなくこうしているからあたしもする。
「わわわ、いきなり何を」
「親友の言葉で気になる乳はとりあえず揉めって言葉があるのよ」
「……迷惑な言葉だな」
「いやぁ、シグナムって知り合いと感じが似てるなと思ってたんだけどさ、まさかここも似てるとは思わなくてツイ」
もみもみもみ
あぁ確かにこれは癖になりそう。
「ツイでそんなに揉むな」
「け、慧音。どうやらお楽しみ中だったみたいだな。うん、またあとでくるよ」
「も、妹紅!? これは勘違いだ! 別にお楽しみというわけじゃない」
「そうよ。どうせならあんたも脱げ」
「そうだ妹紅も脱げば……は?」
あたしは飛びかかり衣類を取っ払う。
大きさは普通だがいわゆる美乳というものが並んでいる。
実にすばらしい。
はやてがこの世界に着ていれば大喜びしたかもしれない。
「ほらほら、さっさと入るわよ」
「強引だな。何年も生きているがお前のようなやつは…魔理沙ぐらいしか見たことがない」
「へぇ。あたしみたいな奴がまだいるんだ」
「あぁ。強引ですき放題してるのに人気者な不思議な奴だよ」
ふぅん。
あたしが人気者だったかは知らないけど少し気になるわね。
にとりとともに気になるリストに入れておこう。
「どこに行けば会えるかな?」
「さぁな。好き放題飛びまわっているから捕まえるのは難しいと思うね。自宅 神社 紅魔館がよくいるところと聞くがね」
「聞きなれない言葉が多いわね」
「神社はおおむね博麗神社という場所だ。2か所あるがもう一つは矢守神社と呼ばれている。博麗霊夢というやる気のない巫女がのんびり昼寝してる場所さ。 で、紅魔館は吸血鬼の住んでいる紅い洋館。何人か外の人間を向かい入れて働かしているようだな。輝代と殺し合いしてるときに急患が着てお流れになったとき に教えてもらった」
「殺し合いってまた物騒な」
「あぁ。どうせお互いに不老不死だからな。……いく年いく憶と恨みを抱いたまま殺し合い続けるだけさ」
……。
「くだらないわね、まったく。その輝代とかにも同じこと言われない?」
「くだらないか。確かに他人から見たらくだらないことかもしれない。いつか笑えるかもしれないなんて思っていたりするあたり実にくだらない」
「だったら今笑いなさい。いつか笑えるなら今笑い飛ばしてやればいいのよ」
いつかいつか、それじゃいつまでたっても辿りつかない。
「無茶苦茶なこと言うな」
「こういうとき自分にできないことは言わないつもりよ。あたしなんてただの小学生してたのに、いきなり未知の世界に送り込まれて食われかけたのよ。こんな状況笑うしかないじゃない」
でなきゃ落ち込んで何もできなくなる。
笑い飛ばしてやれば何かしらの気力も生まれてくる。
「出会ってすぐの子供に言われるとは、無駄に長生きしてただけみたいじゃないか」
「これからも生きていくんでしょ。だったら呆れるほどに笑ってやるほうが有意義だと思うわ。あたしはいつか死ぬ身だけど、どんな終焉だって笑い飛ばしてみせる。このままこの世界で朽ちようとも笑い飛ばしてみせるわ」
高町なのはという最愛の親友に二度と会えなくてもだ。
家族たちと永久の別れでもだ。
あたしはアリサ・バニングス。
炎の翼はいまだ折れていない。
「そうか。殺し合いは…続けると思うけど、少しばかりは考え方をかえてみるとしよう。あとから生まれてくる人間にこうまで言われて先立たれるなんて目覚めが悪い」
「来世で出会ったら楽しみにしてるわよ」
「アリサなら……閻魔を殴り倒して生き返りそうだ」
「慧音も冗談を言えるのね。でも、それは面白そうだから本気でやっちゃおうかな」
「「……」」
「二人してその眼はなによ」
「何でもない。さ、さーて私は明日の授業内容を考えて寝るとしよう」
「あ、慧音。私の用事がまだ残ってる!」
風呂を上がる慧音に慌ててついていく妹紅。
あれじゃどっちが長生きしてるやらさっぱりね。
ま、面白い友人が多いことはいいことだわ。
さーて、あたしも明日から寺小屋とかの間に魔理沙とにとりに会いにいくとしようかしら。
「この先に進めば人里だよ」
あのあと仮眠を取り明るくなってからルーミアが案内を引き受けてくれた。
眠っている間に襲うとか姑息なことはしないというのは嘘じゃないみたいだ。
「ふぅ。これでようやく休めそうね」
街の風景が見える。
変な種族だったけど嘘は言わないようね。
「人里なら妖怪がいても安全だけど、他の場所に行くとルーミアよりも強い妖怪が沢山いるから気をつけるのだ」
「妖怪?」
テレビアニメとかホラー映画ぐらいでしか聞くことがない言葉ね。
「んールーミアは説明が下手だから人里にいる慧音っていう人に聞けばいいのだ。とりあえずついてきて!」
ルーミアに手を引かれ人里のほうへ走っていく。
入った町並みは時代劇にでてきそうな風景。
洋服を着ている人間も少しいるが、大半が和服で昔の日本にタイムワープしたような感覚になる。
「えーと映画のセットじゃないのよね?」
「映画? よく分からないけどここが幻想郷で人間がいっぱいいる場所なのだ」
幻想郷?
あーまぁ慧音という人に聞くか。
「とりあえずは…感謝しておくわ。ルーミア、また会えたらいいわね」
「そうだね。また会おうなのだ」
あたしはルーミアと別れ街の中を歩く。
制服姿のままのあたしを珍しそうな眼で見つめてくる。
そんな時一人のシグナムぽい女性があたしに声をかけてくる。
「…お前は、外の人間か?」
「さっきも言われたけどたぶんそうよ。慧音って人を探してるんだけど知らない?」
「私だが、外の人間にまで名が知れ渡ってるとは思わなかったな」
「不思議そうな顔しなくても大丈夫よ。ルーミアに教えてもらっただけだから」
「ルーミアだと!?」
シグナムぽいのは外見だけじゃないのね。
「あいつに遭遇して食われなかったのか? 外の人間ならとりあえず食いにいっちゃうからな」
「大丈夫よ。倒したら仲良くなったわ」
「………外の拳銃とかいうアイテムでも持ってきてるのか?」
「ないわよ。ちょっとした実力よ。それより外とか中とか分からないことだらけなんだけど、説明してもらえないかな?」
「あーそうだな」

先生説明中.....

「隔離世界みたいなものかしら。……なんとなくわかったわ。神社の巫女もあたしと同じような幻想卿入りの原因を探してるみたいだし………まぁいいわ。とりあえずあたしが寝泊まりできそうな場所があればいいんだけど」
「そうだなぁ……。外の世界で学生とかいったけど、どこまでなら分かるんだ? 足し算とかひらがなができるなら私の寺小屋を手伝ってくれるなら衣食住と ちょっとしたお駄賃ぐらいなら出せるが。それか面白半分で雇ってくれるけど命の保証はあまりない吸血鬼のお屋敷に紹介状を出すとかもできるし、ルーミアを 倒せるなら低俗妖怪も倒せるだろうし、自衛団で軽く体を張ってくれたら給料はでるそうだ。……長続きした奴はいないがな」
「そうね。寺小屋の話と自衛団ってのなら悪くなさそうね。あたし自身がお屋敷出身だから、他のお嬢様にこき使われるのは趣味じゃないわ」
「なら、ひとまず私の家に荷物をおこう。その服もだいぶ汚れているみたいだし、新しい服を用意したほうがいいな」
たしかに野宿したり山の中歩いていたから、制服が結構ボロボロね。
元の世界に戻れた時は新しい制服を購入しないといけないわね。
いつ戻れるか分からないけど、戻ったら時間が過ぎてませんでしたみたいなオチを期待したいわね。
……何年も皆と離れるなんて冗談じゃないわ。
とはいえ、今は今。
「さぁて、幻想郷! あたしを楽しませてよね」

「あ、以外にも素早い。じゃあこうしちゃうぞー」
こうしちゃうぞー!って軽いノリで射撃魔法なんざ使うな!?
あたしは突っ込みを入れるべくあたしは拳を構える。
「ふん!」
付近に散らばる魔法を断つ。
少し吸収した感覚が普通の魔法と違う気がするが、今の攻撃のお陰で魔力を吸収することができた。
「その程度の射撃じゃ…まだまだね」
「弾幕を斬るとかボムよりひどいぞー」
空飛ぶ人肉種族のいる世界にも爆弾はあるのね。
むしろこいつが少数民族なら、大半の人間は爆弾だので戦いたくはなるか。
「ふぅん。このあたしは魔を断つ能力なのよ!」
「なんとー! …匂いは外の人間ぽいのにどうなってるのかー」
外の人間ということはやはり少数民族ね。
向こうから襲ってきたんだし、正当防衛ぐらいなら認められるわよね。
無理なら全員ぶっとばす!
「さーて、そんなくだらない疑問はどうでもいいのよ。このあたしに喧嘩売ったのはあんた。そいつをあたしは買う。馬鹿ほざいてる暇があるならさっさと続きをしない?」
「人里に逃げれば助かったのに 外の人間は食われても文句言われないんだぞー!」
「あら、人里があるなんて幸運じゃない」
殴り合いで遊んでやろうかと思ったが、最優先事項のキーワードを前に気が変わる。
「みやー!」
煙幕なんてやっかいなものを。
月明かりすら遮られて視界は完全に真っ暗だ。
こんな時にインテリジェントデバイスかストレージデバイスがあればサーチが楽なんだろう。
「どうだー見えないだろー」
「見えなくて困ったわね。で、これって魔法か何か?」
「私の能力でいかなる場所も暗闇の空間を作れるんだぞ。怖いだろ!」
ふむ。
魔法の類とは少し違うみたね。
射撃魔法は吸収できたけど、これは…少し難しいわ。別世界の魔法だとあたしの体が完全に対応してないのかな。
「うわ!?」
あたしの頬を弾丸がかする。
こんな暗い中で攻撃をされたら回避するのは難しい。
「あ、こっちにいたのか」
…声でばれた!
ばれた?
……もしかしてこいつも見えてない?
とりあえずいっぱい飛んで来る魔法を右手で吸収しておく。
右手限定で魔力吸収能力があるけど、あたし右利きだから武器持ってたら吸収できないのよね!
だったら殴ればいいじゃないとか簡単なこと言うけど、あの守護獣とか使い魔相手に訓練って正直小学生の体力じゃきついきつい。
あ、今はこんな話は関係ないか。
「うわー。もうだめだー(棒読み)」
「……いや、さすがに棒読みにつられるほど馬鹿じゃないよ」
「それは残念」
吸収した魔力をこめ
「烈風拳!」
撃ちだす!
「なんとー!」
…方向はよし。
「見つけたわよー」
「ひぃぃぃ」
勢いをつけたままショルダータックル。
軽い少女は楽に宙に浮く。
「このあたしに喧嘩売ったことを後悔するがいいわ!」
空に舞い上がる少女を掴み
「パワーダンク!」
地面に叩きつける。
死にはしないだろうが、普通の人間ならこれで当分は動けないはず。
「うー痛いのだ」
「そりゃ喧嘩だもの。まだやるなら立ちなさい。相手になるわよ」
「……ルーミアの負けなのだ…」
「分かったわ」
あたしは倒れている少女の前に立ち手を差し出す。
「え?」
「勝ちと負けが分かればこれ以上は無駄よ。…またあたしを食べようとするなら今度は今以上にボコるけどね」
「……」
「分かったら返事なさい」
「わ、分かりました!」
「よろしい。えーと、あんたはルーミアでいいのね。あたしは、アリサ。アリサ・バニングスよ」


「あいたたた。寝ぼけてたとはいえ電柱に頭ぶつけるなんて……なんて?」
あれ?
なんで電柱が木になってるの。
「っていうか、ここどこよ」
見事なまでの森。
ビルのジャングルなら身近にあるが、本物の密林なんてお目に掛ったことは日本ではない。
携帯電話を取り出して見るが、圏外表示でNEET宣言。
登山の場合は下手に動かない方がいい時もあるが、気がついたら未知の世界でしたーなんて時はどうすればいいか教えてもらってないわよ。
少し考えた結果とりあえずけもの道を見つけることにしてみる。
動物が使う道ならばいずれ水がある場所に行きつく。
水がある場所を辿れば人間がいる場所に行きつく。
問題は何が起きたか分からないので人が存在している場所じゃなければ海にたどりついてゲームオーバーなんだろうけど。
とりあえずあたしは歩いた。
高かった日が傾き空が赤く染め上がる。
休憩はしていたがそれでも歩くことをやめずに歩いた。
今のあたしは歩き続ける気合だけしか武器がない。
「……野宿なんてやったことないわよ」
これ以上暗くなると歩くのは困難だ。
明かりを使って歩く手段も考えられるが、流石にこれだけ歩き続けると足がパンパンに張れている。
「完全に安全とは言えないけど、木の上なら狼みたいな奴からは身を守れるとか書いてたわね」
あたしは太い木の上に登り眠りにつくことにした。
完全に熟睡はできないがこれでも体力の回復にはなるだろう。
そう思いつつうつらうつらとする。
「ふぅん。こんなところに人間がいるなんて珍しい。…食べてもいい部類なのかー?」
話声?
いや、この声はあたしの目の前にいる。
「……っ!?」
金髪の少女が赤い瞳であたしを見つめている。
にたぁと笑う口には鋭い牙。
狙いは……あたし。
木から飛び降りて最初の攻撃を回避する。
「なんなのよまったく!」
何か分からないままあたしは人肉食な種族と闘うことになった。



「あ、以外にも素早い。じゃあこうしちゃうぞー」
こうしちゃうぞー!って軽いノリで射撃魔法なんざ使うな!?
あたしは突っ込みを入れるべくあたしは拳を構える。
「ふん!」
付近に散らばる魔法を断つ。
少し吸収した感覚が普通の魔法と違う気がするが、今の攻撃のお陰で魔力を吸収することができた。
「その程度の射撃じゃ…まだまだね」
「弾幕を斬るとかボムよりひどいぞー」
空飛ぶ人肉種族のいる世界にも爆弾はあるのね。
むしろこいつが少数民族なら、大半の人間は爆弾だので戦いたくはなるか。
「ふぅん。このあたしは魔を断つ能力なのよ!」
「なんとー! …匂いは外の人間ぽいのにどうなってるのかー」
外の人間ということはやはり少数民族ね。
向こうから襲ってきたんだし、正当防衛ぐらいなら認められるわよね。
無理なら全員ぶっとばす!
「さーて、そんなくだらない疑問はどうでもいいのよ。このあたしに喧嘩売ったのはあんた。そいつをあたしは買う。馬鹿ほざいてる暇があるならさっさと続きをしない?」
「人里に逃げれば助かったのに 外の人間は食われても文句言われないんだぞー!」
「あら、人里があるなんて幸運じゃない」
殴り合いで遊んでやろうかと思ったが、最優先事項のキーワードを前に気が変わる。
「みやー!」
煙幕なんてやっかいなものを。
月明かりすら遮られて視界は完全に真っ暗だ。
こんな時にインテリジェントデバイスかストレージデバイスがあればサーチが楽なんだろう。
「どうだー見えないだろー」
「見えなくて困ったわね。で、これって魔法か何か?」
「私の能力でいかなる場所も暗闇の空間を作れるんだぞ。怖いだろ!」
ふむ。
魔法の類とは少し違うみたね。
射撃魔法は吸収できたけど、これは…少し難しいわ。別世界の魔法だとあたしの体が完全に対応してないのかな。
「うわ!?」
あたしの頬を弾丸がかする。
こんな暗い中で攻撃をされたら回避するのは難しい。
「あ、こっちにいたのか」
…声でばれた!
ばれた?
……もしかしてこいつも見えてない?
とりあえずいっぱい飛んで来る魔法を右手で吸収しておく。
右手限定で魔力吸収能力があるけど、あたし右利きだから武器持ってたら吸収できないのよね!
だったら殴ればいいじゃないとか簡単なこと言うけど、あの守護獣とか使い魔相手に訓練って正直小学生の体力じゃきついきつい。
あ、今はこんな話は関係ないか。
「うわー。もうだめだー(棒読み)」
「……いや、さすがに棒読みにつられるほど馬鹿じゃないよ」
「それは残念」
吸収した魔力をこめ
「烈風拳!」
撃ちだす!
「なんとー!」
…方向はよし。
「見つけたわよー」
「ひぃぃぃ」
勢いをつけたままショルダータックル。
軽い少女は楽に宙に浮く。
「このあたしに喧嘩売ったことを後悔するがいいわ!」
空に舞い上がる少女を掴み
「パワーダンク!」
地面に叩きつける。
死にはしないだろうが、普通の人間ならこれで当分は動けないはず。
「うー痛いのだ」
「そりゃ喧嘩だもの。まだやるなら立ちなさい。相手になるわよ」
「……ルーミアの負けなのだ…」
「分かったわ」
あたしは倒れている少女の前に立ち手を差し出す。
「え?」
「勝ちと負けが分かればこれ以上は無駄よ。…またあたしを食べようとするなら今度は今以上にボコるけどね」
「……」
「分かったら返事なさい」
「わ、分かりました!」
「よろしい。えーと、あんたはルーミアでいいのね。あたしは、アリサ。アリサ・バニングスよ」


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とってもバーニングしてる人
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