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「守護獣以外の騎士はそろったよ」
「そうか。でも、私の意見は曲げるつもりはあらへん」
八神はやての周りには血のついた布が落ちている。
手足は縛られ4日ほど拷問を受けているが、まだはやての瞳から光は消えていない。
「だろうね。僕も王であるキミがそう簡単に折れてしまう程度の器だったらがっかりするところだったよ。もっと深い恐怖の元砕けてくれなければ簡単に再生してしまう」
先日ヴィータの前に現れたエヴォは冷たい目ではやてを見下ろす。
人を人とも思わぬ目線に対してはやてはにらみ返すこともなくスルーする。
「はたして私が壊れるのとあんたが捕まるの…どっちが先やろうな? 私達が捕まったとなればなのはちゃん達が動く。…あの二人は強いで」
「すぐにキミの隣に並べてあげるよ。夜天の王」
「その呼び名よりもはやてって呼んでもらわれへんか? シグナム達は王を護る騎士やなくて家族やからな」
捕まってもまだいつものペースを崩さない。
「はやて、君が壊れるまで…この水を垂らすことにしよう」
「水を垂らす?」
ぺたんぺたんと水滴が額に落ちる。
手足が縛られ拭えないので不快を感じるが、先ほどまでされていた拷問と比べたらまったくたいしたことがない。
「なんの冗談?」
はやてでなくても同じことを問いたくなる。
一滴ずつ水滴を落されるだけの作業が拷問と言えるのだろうか?
真っ赤な血をふきあげていた拷問のほうがよほど堪える。
「そう言うだろうと思ってね。僕の協力者に手伝ってもらうよ」
エヴォの合図とともに仮面をつけた人影がはやてを取り囲む。
だがそれ以外の動きがない。
「では僕は失礼する。友人が隣に並ぶ姿を楽しみにしてるといいよ。もしかしたら何も喋らない縫い包みになってるかもしれないけれどね」
見ず知らずの人間に囲まれたままはやてはエヴォを見送る。
そのあとずいぶんと時間がたったが囲んでいる人間が動きだす気配はまだない。
ただ心の底に不安が生まれてきたのが分かる。
囲まれている恐怖と縛られている恐怖。
さらに水滴1回1回は大したことはないと思っていたが、どれほど時間がたったか分からないほど長時間になると確実に体温が奪われていく。
仮面をつけた人間は基本的に動かないが、時折ガタッと音を立ててはやての様子を見るために接近してきたりと忘れた頃に見せる動きがさらに恐怖心を掻き立てる。
いつ何をされるか分からない恐怖。
それでもこれは我慢比べのようなものだと自分に言い聞かし、表情を崩さないように必死に勤める。
「明かりぐらいつけてくれてもいいんちゃう?」
体内時計が正しければ数時間はたった。
しかしこの精神状態から考えると数十分かもしれない。
外は太陽が出ているのか沈んでいるのかさえわからない暗闇の部屋。
薄明かりのみがはやてに許された世界だ。
「知らん振りとはつれないやん。こんな可愛い少女が縛られて暇を持て余してるんやで。少しはお話しようとか思えへん?」
仮面の人間たちは何も答えない。
それでもはやては声を出し続ける。
認めたくないが時間がたつにつれて恐怖心が増えてきている。
たかが縛られて水を垂らされる程度のことで自分が恐れを抱いていることが分かる。
(あかんな。これじゃ怖がってるのがばれてしまうやん)
拷問開始から体内時計3時間 現実時間40分。
八神はやてはまだ意志を保っていた。




「やぁ高町なのはにフェイト・テスタロッサ・高町。はじめましてかな」
出撃準備を進めていた2人の背後からエヴォは声をかける。
厳重な警戒態勢の中不意にかけられたことに2人はビクッと震える。
知らない人物がこの場所にいる。
これがどれほど異常なことかは言うまでもない。
「そう怖い顔しないでいいよ。キミ達が探している騎士やその主の元へならすぐにでも連れて行ってあげてもいいんだ」
「…こんな拷問している映像を送りつけてそんなことをよく言える!」
フェイトが吠える。
なのは フェイトやクロノに送られてきた映像データ。
はやてが様々な拷問を受け悲鳴を上げている姿を撮影したものだ。
「僕たちの要望にこたえてくれたらこんなことはしなくてもよかったんだよ。王は断罪されてもいいぐらいの歴史を積み重ねてきた。…だけどギロチンはかわいそうじゃないか。だからねこうやって僕たちのモノになると思うまで教育してあげているんだよ」
「ふざけないで。はやてちゃんがどんな思いで管理局にいるか分かっているの!」
次はなのはが吠える。
見た目はただの少女だが…壊れている。
「思い? 僕たちの思いを分からないようじゃ意味がないんだ。キミ達も夜天の王と同じ目に会いたくなかったら聖王を僕に差し出すといいよ」
聖王ヴィヴィオ。
2人の大切な娘であり家族。
「寝言は寝てから言えっ!」
真ソニックフォームでフェイトが飛び込む。
手加減も様子見もするつもりはない。
「いい攻撃だね」
バルディッシュの刃がエヴォの体に食いつく。
「流石にこれは痛かったよ。あまり遊びすぎると負けそうだから攻撃しちゃうよ」
魔力の刃を消してすぐに後方へ飛ぶ。
次のアクションを起こす前になのはのバスターがエヴォを包み込む。
「たしかにこれなら力を合わせて王を倒すことはできる。でも残念。僕はただ1人でゆりかごとかを破壊するために作られた存在なんだ」
衛星軌道上に到着した時のゆりかごの脅威。
それを壊すための存在。
「古代ベルカの…」
「そう。古代ベルカの民が恐怖した王の存在を倒すために作られた王。それが僕だよ。僕は古代ベルカの希望なんだ。断罪されるべき王を滅ぼす希望なんだよ」
巨大なランスを構え、さらにもう1つのデバイスが馬の形へ変形する。
ベルカ式搭載のガンランスを構え砲撃を撃つなのはへ向けてまっすぐに走り込む。
「ディバイン・バスタァァァ!」
ランスとバスターがぶつかり合い…一瞬で勝負がつく。
バスターを斬り裂き馬に乗ったエヴォが突撃してくる。
砲撃モーションをとっているなのはは回避する術がない。
「なのは!」
間を割ってフェイトが飛び込む。
首を切り落とす勢いでサイズモードのバルデッシュをひっかける。
「おぉっと!」
体を反らしてフェイトの攻撃を回避。
無茶な体制を取りなのはを狙っていた攻撃は明後日の方向へと打ち出される。
「ダルク! シールドモード」
ダルクと呼ばれた馬が盾の形へと変更される。
「はやての隣にキミ達を早く並べたいんだ。死んじゃったらはやてのためのぬいぐるみにしてあげるよ」
この後の戦いの光景をかろうじて息の合った局員が見ていた。
連れて帰ると言いながらも誰かと話し合う声がして、動かなくなった2人を投げ捨ててエヴォはこの場を後にした。
それまではただの虐殺だったと震えた声でコメントを残している。




「ごめんねはやて。二人ともこういう状態にはしたんだけれど、急用ができて持って帰れなかったんだ」
「な、なのはちゃん フェイトちゃん……嘘やろ?」
親友だからという気持ちもあるが、それだけではなく管理局のエースオブエース。ほんの一握りしかいないオーバーSランクの魔術師が2人してたった1人に負けたのだ。
「なんか最後の方突き刺しても痙攣するだけで威勢の強さもなかったから…はやてより面白くなかったよ」
分厚いバリアジャケットの内側からにじみ出ている出血。
ソニックフォームで防御のないフェイトは…すぐにでもシャマルぐらいの魔術師が治療しなければ死んでしまうであろうほどに、見るも無残な姿へとつくりかえられていた。
「あぁ大丈夫だよ。二人ともはやてと同じで可愛いから顔は1つの傷もついてないよ。あんな綺麗な髪を切って治療するとかひどい話だもんね」
はやては何も言葉が出ない。
自分が負けなければ2人が来てくれる。
そう信じていたものが簡単に崩れ去った。
目の前にいるこいつが死にかけで帰って来たなら希望は潰えなかったかもしれない。
笑いながら余力を残して帰って来たのだ。
はやてを支えている砦の1つが崩れ去った。
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とってもバーニングしてる人
バーニングアリサをメインにSSを書いて誰よりも熱くなるつもりらしい
細かいことはメインHPまでどうぞ!






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