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「いいのですか? もっとも愛したあの娘にもっとも過酷かもしれない事を望んで」
天へと昇る光を眺めながら女性の1人がもう一人の女性へと声をかける。
「大丈夫よ。…闇の書の中の夢が全部叶うわけじゃないけれど、数少ない私なりのフェイトへの償いとアリシアへの希望を作ってみただけだから」
花に囲まれた研究室。
ジュエルシードを求めていたことではなくアリシアの生きていたときの、そしてフェイトの作られた記憶の中の楽園の中でプレシアは祈っていた。
「リニスもフェイトの元に行けたのになぜ残ったの?今度こんなチャンスがいつくるか分からないわよ」
簡単すぎる質問だとリニスは笑う。
「…フェイトの使い魔はアルフですし、今の彼女にはたくさんの友達や家族がいますから。そして私はプレシアの使い魔であり家族ですから残るのは当然じゃないでしょうか」
「馬鹿ね」
そういいながらも目が涙ぐんでいるところは見逃さない。
見逃さないが追及するつもりもなく二人は唯、天に上るアリシアに祈りをささげた。



アリシアが目覚めた場所は、ストリートミュージシャンが数多く夢をつかもうと歌い続ける街だった。
成長が止まっていた彼女の体は9歳ぐらいのままで、保有する魔力量がフェイトと同等であるということ以外は普通の少女でしかなかった。
すなわち生き帰ってすぐに彼女は路頭に迷うことになったのだ。
「……ん? 女の子がこんな町に一人でどうしたんだい?」
20歳ぐらいの青年は引いていたギターの手を止め、ふらふらと徘徊するアリシアへ声をかける。
一瞬、ビクッと反応するも人のよさそうな笑顔にすぐに安心感が生まれる。
「分からないの。…気がついたらこんな場所にいて」
「迷子かぁ。お父さんとかお母さんは?」
「お父さんもお母さんも……もういないの」
アリシアの返答にやっかいなところに首を突っ込んだかと苦い顔を浮かべる。
しかし、もともとが人のいい性格なのだろう。
「とりあえず時空管理局に行くのもいいだろうが今夜はもう遅い。俺の家で飯でも御馳走するよ」
「うん!」
「俺は、フォード・ロータリーだ。キミは?」
「アリシア・テスタロッサ」
「そうか、アリシアだな。…グラナガンの地上本部まではちょいと距離があるし、最近なにやら事件があってこういったこまごました事件にはなかなか手が回らないらしいからな。一応俺の親戚に局員の課長がいるし、保護してるとぐらいの連絡はしておくよ」
フォードとアリシアは手をつなぎ彼の家へと向かう。
帰り道にいきさつを聞いてみるが、夢話に近い内容にフォードはより頭を痛めるのであった。



だいたいこんな出だしで考えてみた。
シグフェイ 無限シリーズとは別に短編で書けそうな気がする
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